黎明乃刻に至るまでの、御池万夜と彼を取り巻く者たちについて

前に、主演ふたりのことについて、そりゃもう長ったらしく自分の中の考えと想いを綴って整理したんですけど、もうひとり絶対に整理したい人がいるんですよ。

なにを隠そう、私は子細胞持ちなので、自分の教祖については語らないと終われないじゃないですか……。

御池万夜と、彼を取り巻く人たちのことも改めて整理したいので、月詠から振り返っていきたいです。相変わらず、私の勝手な考えばかり(なんなら子細胞持ちなので、御池万夜に対してだいぶ偏っているかもしれない)なので、読んでくださる方は気をつけてくださいね!!!

(※ここから宗教のテンションになります)

(※ネタバレしかないよ!!!!!!)

 

 

 

柚木小太郎と御池万夜の話

 

私の初観劇は大阪初日のソワレで、それなのに会社の会議が全然定時に終わらなくて、なんなら定時後に会議始めるみたいなふざけたことをされて、会社にキレ散らかして泣きながら劇場までの道をビジネスパンプスで猛ダッシュしたんですけど、終わったあと別の意味で涙が止まらなくて、友達にずっと肩をぽんぽんしてもらっていた記憶があります。

 

私は、このふたりがメサイアになって卒業してくれると信じて疑ってませんでした。因縁も充分、卒業ミッションとして申し分のない障壁を抱え、それでも少しずつ、本当に少しずつお互いへの感情が変わっていき、そうしてメサイアになる。すごく自分勝手な話ですが、杉江大志が主演と言われようとも、「月詠」という神様の名前が付いている時点で、月詠乃刻は小太郎と万夜様の卒業の話だとすら思っていました。思い上がりも甚だしかったですね。でもそれくらい、私は小太郎の死がびっくりするほど受け入れられませんでしたし、今も完全に昇華できているわけではないです。でもあれが、運命だったんですよね。そう言われてしまったら、もう頷くことしかできません。

 

御池万夜は私の中で、途方もなく哀しい人という印象です。優しくて、健気で、誰よりも誰かを救いたいと思って、自分自身を犠牲にしてきた。

暁~悠久くらいまでは本当に可愛くないことばっかり言っていますが、あれら全てが「小太郎に殺してもらうため」だったのだとしたら、それはあまりにも悲しく、愛おしいです。嫌われて、遠ざけられて、なんの躊躇いもなく小太郎に終止符を打って欲しかったのかなあ。

どうして万夜様が「小太郎に」殺されたがったのか、を考えたとき、もちろん、悠久のハングドマンがそうであったように、今回の黎明ではユキがそうであったように、「どうせ死ぬなら自分の大切な人に手を下されたい」という気持ちがあったのかなあ、と思います。加えて万夜様は、今までたくさんの罪を犯してきたと言っている。その罪を、自分の神様である小太郎に裁いて欲しかったのかなあ、と思っていました。

コードエッジMAYOで、万夜様は快感報酬に全く反応しなくなるじゃないですか。快感報酬よりも、ずっとずっといい夢を見ている状態の万夜様。その夢が、お金持ちになったり権力を振りかざしたりしているものだったらまだよかったのに、万夜様が見ている夢って「小太郎といっしょに宿題をして、小太郎の柔道を大声で応援して、小太郎といっしょに夏祭りに行って」っていう、ごくごくありふれた、ふたりが照る日の杜に入らなければ、普通の子供や友人として出会っていたならば、当たり前に訪れたであろう日常なんです。その中で小太郎は万夜様のことを「万夜」って呼びます。コードエッジのお話の時間軸で言うならば、まだたったの一度も小太郎に「万夜」なんて呼ばれたことがなかったのに。

すごく、愛おしいじゃないですか。万夜様が望んでいたことがあまりにもささやかで、あまりにも優しくて、この世のたったひとりと下の名前で呼び合うだけの何気ない日常を望んでいたなんて知ってしまったら、そりゃあもう大号泣待ったなしですし、万夜様のこと大好きになります。でも照る日の杜にご神体として存在している以上「どんなに苦しい思いをしたって、僕の欲しいものは絶対手に入らない」んですよ。そういう意味では、月詠の最後、小太郎がたったの一言、万夜様の名前を呼んであげたことだけでも、とてつもなく大きな救いになったはずなんです。

 

対する小太郎は、本当にぽかぽかしたお日様が似合う人でした。

私の小太郎の一番好きなところは、月詠で小太郎が加々美とふたりきりで話す場面に「もしあいつの奪還が難しくなって、殺さなきゃいけなくなったら……俺にやらせてください。俺があいつの望みを叶えます」って言ってくれるところです。

万夜様を殺さなきゃいけない。その役を、小太郎は「万夜が望んだから」という理由で引き受けるんですよね。メサイアだから、っていうのはもちろんだと思いますが、その前に「万夜が望んだから」なんですよ。「僕はおまえに殺されたい」って万夜様が望んだから、小太郎は万夜様を殺すんです。あまりにも辛くないですか。

もうこの時点で、小太郎は万夜様のことを「特別な存在」だと言っていて、きっとメサイアとして認めてくれていると思います。その、自分にとっての救い主であり神様である万夜様がそう望んだから、小太郎自ら彼を手にかけることを決めるのはあまりにも酷くて、でもこの上ない愛情ゆえだと思っています。

 

月詠の最後、万夜様は小太郎の臓器を受け取って生きていくことを決めます。あれほどまでに「生きるのが辛い」「死にたい」と言っていた万夜様が、小太郎が「生きていて欲しい」と望んだから、生きることを決めるんです。小太郎が望んだ「万夜様が生きること」で、小太郎の魂を救おうとしてくれる。

メサイアだなって思いました。もう、誰がなんと言おうともメサイアだなって思わされました。……まあ、小太郎は死んじゃいましたけど。

 

 

杉浦レネと御池万夜の話

 

レネくんが登場したときの私の第一印象は、「なに気安く万夜とか呼んどんねん(過激派)」でした(笑)

ただでさえこのとき私はまだまだ思いっきり月詠を引き摺っていて、あれだけのものを見せられた中、万夜様に小太郎以外のメサイアができることを受け入れられていませんでした。しかも、小太郎が一回しか呼べなかった万夜様の名前を、さも当然のように……軽々しく呼ぶんですよ……震えるじゃないですか……(過激派)

 

それに加えて、万夜様の態度がもう、全てを物語っていました。おまえのことなんて受け入れるつもりはさらさらない、というのが、態度と声と表情全部で突き付けられて、一周回って、なんだかレネくんが可哀相にもなりました。なにもしてないのに、これだけ無関心にされるレネくん……なんかごめんね……。

 

黄昏のときのふたりは、本当に前途多難だったと思います。

一番やばいな、と思ったのは、万夜様がレネくんに対して完全に「無関心」だったことです。好きの反対は無関心、とか言いますけど、今までのメサイアたちって多かれ少なかれ相手になにかしらの感情を抱いてたじゃないですか。嫌いとか、ムカつくとか、そういうなにかはあったのに、万夜様からレネくんに対しての感情がなにもないんです。なにも感じないって言われちゃって、こっちがどうしよう……ってなりました。

でも台詞とかを聞いてると、万夜様の「言うことを聞け!」にもある通り、レネくんは自分で道を切り開ける圧倒的な太陽属性なんですよね。

家族が14人いるっていうのも、すごく引っ掛かりました。照る日の入信の条件が「家族になること」だったので。

つまり、レネくんにとっても万夜様にとっても「家族」って言葉はけっこう重要なのかなあ、と。

 

そして黄昏の最後で、レネくんが言ってくれた「なってやるよ、御池万夜。あんたのメサイアに。前のメサイアよりも頼れる男にな」っていうのが、今回の黎明にもすごく繋がっている気がします。

 

 

御池万夜と柚木小太郎と杉浦レネの話

 

黎明初見で死ぬほど泣いたのが、小太郎の肉声ですよ。まさかあんな演出がくると思わないじゃないですか……。一声目の「万夜、」で涙腺が崩壊しました。(万夜様は毎日あんなふうに自分の中の小太郎とお話してたのかな、って思ったらしんどすぎて呼吸できなくなりそうなので、そこらへんは考えないようにしてます)

 

黎明の半ばあたり、穂波と万夜様が話すシーンで、万夜様が初めて「レネ」と名前を口にしたシーンがありましたよね。

「あいつをメサイアだって認めたら、僕は小太郎を完全に忘れることになる。そんなこと……僕には絶対にできない」という台詞の、「僕には絶対にできない」の部分は、崚行くんのお芝居が毎回違うので、どういう感情での台詞になるのか、私の中でもあまり定まっていません。切なそうだったり、確固たる意志があったり、はたまた遠くを眺めてみたり。

けど、月詠の大楽で崚行くんが「周りの人間がその人のことを忘れてしまったとき、その人は完全に死ぬと思うんです」って言っていたのを思い出しました。崚行くんがそういう考えなら万夜様もそういう考えだと思ってるんですけど(メサイアは役と役者の境界線があいまいなので)、そういう意図であの台詞を考えると、万夜様が小太郎を忘れるっていうのは、小太郎を殺すっていうことと同義になるわけで、そりゃ絶対にできないよなあ……と思いました。

でも裏を返せば、レネくんをメサイアだって認められない理由は、その点のみなんですよ。きっと万夜様は、自分自身に対するレネくんの気持ちも、自分自身がレネくんに対している感情も、薄々わかっていたんじゃないかと思います。小太郎という存在が、万夜様の気持ちにストップをかけていたんですよね。それをきっと、穂波も気づいていました。

 

で、小太郎の肉声シーンに辿り着くわけなんですけど。

ここらへんの前後のシーンは全て、レネくんと万夜様各々に定点カメラ置いて追いかけたいくらい、ふたりともやばいです。

 

まずは、レネくんの「こいつのメサイアは俺じゃない。柚木小太郎って男だ」の台詞ですが、あの台詞をレネくんが言っているとき、万夜様はそれをレネくんの後ろで聞いています。その表情が、ものすごく泣きそうなんですよ。まるで自分が傷ついた、みたいな顔をしています。

きっと万夜様は、レネくんにそんなことを言って欲しくなかったんだと思います。認めてあげたいけど、認めたら小太郎を殺すことになる。メサイアは唯一無二で、ひとつとして代わりなんていない。レネくんが万夜様のメサイアになった時点で、小太郎は死ぬわけです。でも、レネくんが万夜様のことをちゃんと想って大切にしてくれていることは、今までの任務で充分過ぎるほどにわかっていたと思うんです。そうなったとき、自分の大切な人から「自分はあんたに大切にされてないんだ」って言葉を聞くのは、悲しいです。

 

けど、そこで救ってくれるのは、またしても小太郎なんですよね。

月と太陽はひとつになる。小太郎は、万夜様になった。つまり、小太郎が「レネを気に入っている」なら、それは、万夜様がレネを気に入っているからなんですよ。だって、自分なんですから。

そして小太郎は、自分を殺した上での御池万夜じゃなくて、自分たちふたりでの御池万夜のメサイアは、レネくんだって、言ってくれるんですよね。そのときの万夜様の表情は、私はきっと、ずっと忘れられないと思います。全てに許されたような、目の前に立つレネくんを、心底眩しいものでも見るかのように見上げるその表情は、紛れもなく太陽を見つけたときのそれなんだなあ、と思いました。

そのあとの、万夜様の構え、小太郎の背負い投げ、それにレネくんの「いけ!」が加わることで、ひとつ完成形が見えたような気がしました。

(大阪楽で、背負い投げの際、万夜様が一瞬だけ、自分の首元のプレートに触れるんですよ。フォロワーさんもそうだったよね!?って言ってたので間違いないと思うんですけど、それ見た瞬間、過呼吸になりそうなくらい泣きました。そういうとこやぞ、ながえりょ~き……)

 

レネくんはエンディング後のラスト、「守ってやるよ、おまえらのことは」と言ってくれるんですけど、きっとこれ、万夜様はレネくんにとてつもなく救われていると思うんですよね。小太郎を消してしまうのではなく、小太郎ごと万夜様を認めてくれるレネくんの姿は、紛れもなく太陽だと思います。

 

もし今後、レネくんと万夜様に卒業ミッションがくるなら、レネくんの過去への言及なのかなあ、と思います。

実は家族が14人もいたのに、全員死んでしまっているレネくん。それでもなお万夜様と「家族みたいになりたい」と言っていた意図。それを乗り越えられた、なんて私は到底思ってないんですけど、万夜様のことを「俺が守ってやる」「俺が守る」って何度も言っているあたり、家族を守れなかったか、家族に守られて自分はなにもできず家族を見殺しにしたか、くらいの過去があるんじゃないかと思っています。

それを経て、どうしてあんなに呆気からんとしているのか、そうせざるを得ない状況だったのか、以前のアメリカの工作員にはどうしてなったのか、などなど、不明なところが多すぎるんですよね……。

あと、レネくんは万夜様を守るって言ってくれていますし、月詠では小太郎にたくさん守ってもらった万夜様なので、卒業ミッションではレネくんを小太郎といっしょに助けに行く万夜様が見られたら、ふたりは本当に本当のメサイアになれるんじゃないのかなあ、と勝手に思っています^^

 

本当は穂波のこともまとめて書きたかったんですけど、穂波のこと喋ったら及川くんのことも喋らないと……ってなって、文字数が一万字超えてしまうのが容易に想像できたので諦めました。

魅力的な子が多すぎて困るねメサイア……。

 

明日から、いよいよ凱旋が始まりますね。キャストの皆さんが無事に駆け抜けられるよう願って、楽日の観劇を楽しみにしたいと思います!!すでにめちゃくちゃ寂しいんですけどね!!!